9月2日盛岡競馬場
不来方賞
JpnⅡ
左2,000m
3歳ダート戦線の最終章が幕を開ける。
灼熱の夏を越え、己が力を証明してきた若き砂の猛者たちが、秋の大舞台『ジャパンダートクラシック』への最終切符を懸け、北の地・盛岡に集う。
ここは、ただの一戦にあらず。
世代の頂点へと続く、最後の関門。
真の王者の資質が、今、この地で問われる。
これより注目馬を『3つの視点』に基づき分析する。
- 『能力』を示す戦績の潮流
近走内容が示す明確な上昇度。その流れから各馬が秘める真の能力を読み解く - 『勢い』を測る揺らぎなき実績
コースや距離、そして過去の対戦相手との力関係。その実績の質から現在の勢いを評価する - 『可能性』を秘める陣営の意志
コメントやレース選択から透けて見える勝負気配。その奥に潜む未来への可能性をえぐり出す
この3つの視点から導き出された注目馬の分析をこれより開始する。
レース展望
此度の戦場は『盛岡ダート2000m』
一見、標準的なコースに見えるが、その内には、生半可な実力では到底乗り越えられぬ、過酷な試練が隠されている。
コース全体を支配する高低差は実に4.4m。
そして、最大の特異点はゴール前の急坂を道中と最後の直線で二度も越えねばならぬという点にある。
一度目の坂でスタミナを削られ、二度目の坂で気力と脚力の全てを問われる。
この非情なる戦場を制するは、単なる速さを持つ者にあらず。
底知れぬ持久力と、決して屈することのない精神力、その両方を兼ね備えた真の強者のみである。
注目馬
不来方賞の注目馬はこちらです。
馬名 | 短評 |
ナルカミ | 『才能は世代随一』 左回りが最後の試練 |
ハグ | 『先行力と粘りは一級品』 力の要る展開でこそ |
メイショウズイウン | 『崩れぬ安定感』 末脚の解放が鍵 |
リケアカプチーノ | 『地方の総大将』 歴史的快挙の勢いは本物 |
ルヴァンユニベール | 『世代上位の潜在能力』 左回りで覚醒へ |
ロードラビリンス | 『末脚の切れ味は本物』 良馬場で見直す |
注目馬チェック
ここからは注目馬のチェックをしていきます。
ナルカミ
- 2025/06/28 福島 右1700m いわき特別 1着
- 2025/04/20 中山 右1800m 3歳1勝クラス 1着
- 2025/01/06 中京 左1800m 3歳1勝クラス 7着
- 能力
-
- デビューから僅か4戦3勝その勝ちっぷりは『重賞級』の器を感じさせる
- 前走の圧勝劇は同世代の物差しを遥かに超えており勢いは疑いようのない『最上位』と評価する
- 勢い
-
- 輝かしい戦歴には一点の曇りが存在するキャリア唯一馬群に沈んだ中京戦がそれだ
- 勝利したレースも全て右回りであり左回りでの実績は皆無である
- この経験不足は盛岡コースにおいて致命的な欠陥となる可能性を否定できない
- 可能性
-
- 『距離延長』を歓迎する強気のコメントは評価できる
- しかし調教師自ら『左右のバランス』への懸念を公言している点は見逃せない
- この言葉の裏に潜む一抹の不安は我々の評価に影を落とす

走ってみないとわからないところもあるが大器の予感は感じる
ハグ
- 2025/08/10 新潟 左1800m レパードS GIII 4着
- 2025/05/31 京都 右1800m 鳳雛S 1着
- 2025/04/06 阪神 右1400m バイオレットS 15着
- 能力
-
- 『鳳雛S』を快勝しオープン馬として名乗りを上げた
- 前走の4着は不利な大外枠を考えれば下降線にはない
- むしろ強敵相手に戦い抜いたことでその地力はさらに強化されたと見るべきだ
- 勢い
-
- 先行して渋太く脚を使い続けることができるのがこの馬の持つ揺るぎなき武器だ
- 力のいるダートが合うという特性は二度の坂越えが待つ盛岡のコースで大きなアドバンテージとなるだろう
- 可能性
-
- 2000mへの距離延長を『望むところ』と断言する陣営の言葉には確かな自信が漲る
- ただし『砂を被ると不安』という課題も認識しておりスムーズな先行が勝利への絶対条件となる



上昇できる力を示し今後も楽しみな1頭
メイショウズイウン
- 2025/07/05 小倉 右1700m ターフオーソリティーオブインディア賞 1着
- 2025/06/07 阪神 右1800m 加古川特別 2着
- 2025/05/03 京都 右1900m ユニコーンS GIII 3着
- 能力
-
- オープンや重賞の舞台で常に上位に名を連ねる戦歴は決して崩れぬ『安定感の証明』だ
- 勝ちきれぬ甘さを見せる場面もあるがその流れは世代トップクラスの能力を示している
- 夏を越えその流れは更なる高みへと向かうだろう
- 勢い
-
- ユニコーンS(GIII)で3着という実績はこのメンバーの中では揺るぎなき力の証明となる
- 馬込みを苦にせず上がり最速の脚で突き放す競馬も経験済みだ
- どのような展開にも対応できる柔軟性は大きな武器である
- 可能性
-
- 『じっくり構えるレースの方が合う』という陣営の言葉はこの馬の勝利への方程式を明確に示している
- 前に行く競馬で僅かに敗れた経験から学び控える競馬でこそ真価を発揮するという確固たる意志がそこにはある



近走は堅実に走っていてここでも有力の1頭です
リケアカプチーノ
- 2025/06/29 水沢 右2000m 一條記念みちのく大賞典 1着
- 2025/06/08 水沢 右2000m 東北優駿 1着
- 2025/05/04 盛岡 左1800m ダイヤモンドC 2着
- 能力
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- 東北優駿そして古馬の頂点であるみちのく大賞典を連勝
- その勢いはもはや地方という枠には収まらないまさに昇り龍の如き覇道を進む
- この流れはJRAの強豪を迎え撃つ最大の追い風となる
- 勢い
-
- 3歳馬として史上初となる『みちのく大賞典』制覇はこの上なく輝かしい
- 地元を知り尽くしているという地の利も中央馬にはない絶対的な強みである
- 可能性
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- 『本物になった』という調教師の言葉は絶対の自信の表れだ
- 『不安よりも楽しみ』という言葉には地元代表としての誇りとJRA勢を飲み込むという闘志が込められている



地方勢の有力の1頭
この勢いのまま上昇の可能性あり
ルヴァンユニベール
- 2025/08/10 新潟 左1800m レパードS GIII 2着
- 2025/06/22 阪神 右1800m 3歳以上2勝クラス 2着
- 2025/05/31 京都 右1800m 鳳雛S 4着
- 能力
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- 未勝利からの連勝そして重賞での2着という戦績は理想的な成長曲線を描いてい
- 常に上位争いを演じるその流れは本格化の兆しを感じさせる
- 勢い
-
- 前走レパードS(GIII)の2着は数字以上の価値を持つ
- 内枠有利の馬場の中不利な外枠から能力だけでねじ伏せたその内容は世代上位のポテンシャルを秘めていることの証明だ
- 可能性
-
- 『左回りのほうがスムーズ』という言葉は今回の盛岡替わりが最大の好機であるという宣戦布告に他ならない
- パワーを要する盛岡のダートも歓迎しており前走からの上積みも確実だ



能力は高くこのメンバーでも有力の1頭です
ロードラビリンス
- 2025/08/10 新潟 左1800m レパードS GIII 10着
- 2025/06/07 阪神 右1800m 加古川特別 1着
- 2025/04/26 京都 右1800m 3歳1勝クラス 1着
- 能力
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- ダート転向後一気に素質を開花させ連勝したが前走でその流れは一度大きく途絶えた
- 今回仕切り直しの一戦で再び上昇気流を掴めるかその真価が問われる
- 勢い
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- 加古川特別でメイショウズイウンを鋭い末脚で差し切った実績は決して色褪せない
- この一戦がこの馬の持つ本来の能力を何よりも雄弁に物語っている
- 可能性
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- 前走の敗因を不良馬場と明確に分析しておりデキ落ちはない
- 左回り2000mの条件も問題なしと判断しており巻き返しへの意志は強い
- しかし『すんなりした競馬が理想』という言葉の裏には展開への注文がつくという弱点も透けて見える



今回の軸候補筆頭です
巻き返しを狙うならこの馬
ワイド1点チャレンジ
ワイド1点チャレンジはこの2頭で行きます。
ロードラビリンス×ハグ
最終結論
JRAが誇る砂の新星たちと、地元岩手の歴史を塗り替えた英雄の激突。
今回、二頭の勇士を『同格の◎』という、最高の評価で指名する。
そして
続く『〇』評価には、三頭の精鋭を配置する。
世代上位のポテンシャルを秘めるルヴァンユニベール、才能随一のナルカミ、そして崩れぬ安定感が光るメイショウズイウン。
いずれも、◎の二頭を脅かすだけの資格は十分にある。
最後に、地元岩手の総大将リケアカプチーノを『△』評価とする。
その歴史的快挙と地の利は、決して侮ることはできない。
勝利への最短経路は、この分析が示している。



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